WEEKENDERS COFFEEさん インタビュー:止まり木みたいな 存在になりたい
京都のお土産といえば抹茶味のお菓子が思い浮かび、京都の人は日本茶を好んで飲んでいる印象ですが、実はコーヒーの消費量が日本一だそう。確かに街を歩くとコーヒースタンドが増えて、気軽に本格的な焙煎コーヒーが飲めます。そんな京都で、美味しい自家焙煎コーヒーと聞くと一番に名前が上がるのが、富小路にあるWEEKENDERS COFFEEさん。尾張屋とのご縁は数年前の期間限定カフェからで、2020年発売の『そば餅とコーヒー』では要となるコーヒーをお願いしています。WEEKENDERS COFFEEの代表金子将浩さんにお話を伺いました。
京都の台所、錦市場から富小路通を少し上がると、左手にコインパーキングがあり、その敷地の奥にWEEKENDERS COFFEEはある。町屋をリノベーションした建物と日本庭園のしつらいを残した前庭。程よく開けたプライベートな空間で居心地が良い。
どうしてこの場所を選んだんですか?
(金子さん)「メルボルンに行った時、ビジネス街のコーヒーショップに行ったんです。メルボルンってコーヒーショップを利用するのが文化になっていて、朝7時くらいからコーヒーショップに行って、コーヒー飲んでから仕事をする人が多いんですね。店内は立ち飲みで、外でも牛乳のケースに座って飲んでて、自由な雰囲気でお客さん同士世間話をしていて。日本では2人で席に座って、2人で完結する。そうじゃなくて、お客さんとバリスタだったり、お客さん同士が繋がれる空間を作りたいとずっと探してました。それで朝のランニングの時に一本一本ジグザグ筋を入って見つけたんです。京都の街中って空が広く見えないけれど、ここだけ抜けてて、見えるんです。」
メルボルンで見たお店みたいな存在になりましたか?
「コロナの前はなってました。観光で来られてる方は朝早くから動かれるので、朝7時半からやってることで、朝一番に来てもらえるんです。『今日はどこらへん行かれるんですか?』『そこの近くだったらここもどうですか?』って提案できたりして、次の朝「行ってきました」って寄ってくれたら嬉しいじゃないですか。彼らにとって止まり木みたいな存在になりたいなと思います。」
コロナで、大きく変わったことはありますか?
「コーヒーを家で飲む人が増えて、豆を買う人が増えましたね。リモートワークの人が、自分でこだわりのコーヒーを淹れる、そういう需要が増えてきてます。あとは、自分たちは疑問に思わないけれど、一般の買う人が疑問に思うことってどんなことかなって考えたり、ドリップパックをよりもっと美味しく淹れられるかなとか研究しました。『美味しい淹れ方』をHPで発信しています。」
今年も『そば餅とコーヒー』が再販売されましたが、そば餅とのマリアージュの決め手はなんでしょう?
「コロンビアって組み合わせた時の衝撃があるんです。コロンビア自体、一般の人が思うコーヒーの味ではないし。今まで飲んだことない味とそば餅と合わせて、もう一段階違う味になる、お互いを高めあうような組み合わせですね。」
ミルクを入れても美味しいですか?
「そば餅はミルク入れても相性良い気がします。おすすめは、『ミルクにコーヒーを入れる』。この方が水っぽくなりにくくて美味しいです。ブラックのコーヒーにちょっとだけミルク入れるとそれが命取りになって水っぽくなっちゃうんですけど、順番を逆にするんです。少しだけミルクを入れて、その上から抽出したコーヒーをいれた方が、テイスト的にはまとまるんです。」
これからの目標や次はどこに向かいたいとかはありますか?
「僕はあんまり長期的なのも短期的なのも目標は作らずに、今できることをやるのが好きで。これからできることは、ちゃんと目に見える生産者と繋がっていきたい。標高の高い山奥の交通手段がない場所で、彼らはそれを当たり前として生きてる、それを目の当たりにしてるんで。うちらが買い続けて、道ができたり彼らの生活が変わっていくような、そういうことをしていきたいです。」
何気なく飲む一杯のコーヒー。その豆の生産者を知り、見えることで生まれる絆や安心感は、尾張屋の蕎麦の実と通ずるものがあると感じました。自分たちのことだけを考えず、遠く地球の反対側にいる人たちの幸せを祈り、一助になるよう努める。とてもシンプルだけど、容易ではありません。ドリップパック開け、このコーヒーの持つ物語を想像しながら、じっくりドリップしてみませんか?ミルクは先に入れて。