祖父の代に初めての蕎麦屋支店として開業し、五十年余営業をしてきました四条店を閉店することとなりました。四条寺町の八坂神社の御旅所の地下で、長年お商売をさせていただきましたこと、八坂神社様をはじめ京都の皆様に心より感謝いたします。

そして、長きにわたり四条店を愛してくださった数多くのお客様への感謝の気持ちは言葉では言い尽くせません。

長い年月の間に、四条寺町周辺は大きく変わり、個人やチェーンの飲食店が立ち並ぶようになりました。2006年には京都高島屋７階に老舗が揃ったレストラン街『京回廊』がオープン、尾張屋も出店させていただく機会を頂戴しました。そうした状況の中でも、四条店を愛して通ってくださるお客様は絶えることなく、いつも長年の常連さんで賑わう場所でした。そんな歴史ある店をスタッフは心から愛し守り続けてくれて、私も彼らが守ってくれるお店がとても大切でした。

しかし、コロナの影響だけではなく、温暖化、日本人口減少と、時代はより早いスピードで変化しております。歴史のある老舗といえども、新しい時代に向かって変化する必要性をこの数年強く感じ、悲しいながらも閉店という決断に至りました。

これからは、長年四条店をご愛顧いただきましたお客様にもご満足いただけるよう、本店・高島屋店従業員一同より精進してまいります。変わらぬお引き立てを賜りますようお願い申し上げます。

店舗縮小化をはかると共に、弊社は新しいエリアでの改革にも挑戦して参ります。その挑戦に、長年四条店を守ってきてくれたスタッフが、今までと違うかたちで関わり大きな力になってくれます。どうか、私たちの変化をご理解いただき、これからの尾張屋をご支援くださいますよう、心よりお願い申し上げます。

長らくのご愛顧誠に有難うございました。

本家尾張屋十六代目　稲岡亜里子